●今日はよろしくね。
遠:うん。よろしくね。
●普段インタビューを受ける時って、「なんでボクシングを始めたんですか」とかから始まるの?
遠:うーん。まずは身長と体重からかなぁ。
●へぇ!それって毎回変わるものでしょ?
遠:インタビュアー?変わるよ。
●いや、体重がね。
遠:あはは。そっか。まぁ、体重というより、「何級か」って質問されるんだよね。
●今は何キロくらいなの?
遠:うーん。56か57くらい。その体重だとフェザー級とかだね。
●試合もフェザー級なの?
遠:いや。試合当日はフライ級まで調整するよ。2階級落とすのかな?
●56キロって、結構重いよね?
遠:うん。重いね。だいたいギリギリ170センチ以上の人が集中してくる感じ。
●おお。なるほどね。ライバルが沢山いるってことだね。話は変って、よく他のインタビュー記事を見ると、ギランバレー症候群を克服した話が書いてあるけど、詳しくここでも話してくれる?
遠:うん。発症したのは、小学校5年の時だね。実は2回同じ病気やってるんだ。小5と中1で2回。ほとんどのインタビューでは、1回しか書いてないけど。
●本当!?すぐに再発したんだね。最初は、どんな違和感を覚えたの?
遠:足がツってきてさ、全然力が入んなくなってきたんだ。常に二日酔いみたいな辛さが続く様になって、気持ち悪くなってきて、座ってもいられない。飯も食えないし、俺はどうなっちゃうんだろうって思ったね。ほら、「1リットルの涙」ってドラマあったじゃん。あんな感じ。
●怖いね。すぐに病院にいったの?
遠:うん。行ったんだけど、街の内科じゃ全然原因が分かんなくてさ、船橋医療センター行ったら分かったんだ。即入院になったよ。
●それは、若い人がかかる病気なの?
遠:いや、30過ぎでかかる人も沢山いるみたい。俺はまだ体力があるうちにかかったから、なんとか大丈夫だったけど、命を落としてしまう人もいるよ。足から、だんだん痺れが上の方にくるんだ。最後は心臓の筋肉が麻痺して死んでしまう。そんな病気なんだ。
●怖すぎる。一充はどんな感じだったの?
遠:俺も手まで痺れが来たよ。ゲームボーイを寝ながらやってると、しょっちゅう顔にゲームボーイを落とすんだ。当時のゲームボーイはでっかかったから、超痛い。だから横向いてやってたよ。
●退院後はすぐに元気になったの?
遠:いや、1年くらいはリハビリしてたよ。学校にも、じいちゃんに車で送ってもらってたし、体育も1年間ずっと見学だった。体重も30キロ台にまで下がったよ。でも、その期間があったからスポーツに対する欲は人一倍あるんだよ。
●説得力あるね。2回目に発症した時は絶望的だったでしょ?
遠:本当に絶望的だった!そうそう奇跡は2回も起こらないし、終わったって思ったよ。同じ治療をして、1ヶ月くらいでまた退院できたね。口に痺れが残ってさ、しばらくは「うがい」すると水をピュッピュこぼしてたよ。
●後遺症が残るもんなんだね。入院中に辰吉の試合見たことが、ボクシングを始めるきっかけって聞いたけど?
遠:そう!辰吉好き。
●一番好きなの?
遠:一番は。。。粟生かな。(※)粟生隆寛ね。ずっと一緒に練習してたし、あいつの親父にボクシングの「いろは」を教えて貰ったんだ。
粟生も俺も、右利きのサウスポーなんだけど、それは粟生の親父に勧められたんだ。ストレートって腕の力じゃなくて、足と腰と回転で打つから、力はあんまいらないんだ。ジャブとかフックは腕の力が大事だから、利き腕の右でやった方が効果的だって。返しも効くしね。そう教えられた。
(※)遠藤はボクシングを始めた当初のジムで、毎日のように粟生選手と練習を共にしていた。公私ともに、大きな影響を受けた選手と話している。
●おお!なんか、超説得力あるね!それはここで言っていいの?
遠藤:んえ?ダイジョブっしょー。分かっててもできないからさ。
●ほう。一番嫌いな練習って何?
遠藤:ええ!?それ初めて聞かれたわ!嫌いな練習かぁ。えーと。えー。筋トレかな?
2人:あははははははははは。
●なんで?腹筋とか嫌いなの?
遠藤:いや、腹筋は歯磨きみたいなもんだよ。毎日寝る前にやる感じ。腕立てとか退屈で嫌いだなぁ。練習の最後にやるからさ。パンパンの状態で。
●なるほどねぇ。練習行きたくない時ないの?
遠藤:あるよ。でも試合前はそんなこと言ってられない。どうしても気分が乗らない時は、軽めに練習するよ。ボクシングやり始めた頃は、休む勇気を知らなくて、がむしゃらに練習しまくってたけど、今はいい意味でそういうコントロールができるようになった気がする。風邪気味の時は練習休むし、体幹に疲れ溜まってきたら軽めに練習する。でも、最初はがむしゃらにやった方がいいと思うけどね。
●そういえばさ、一充は銀行員で人と顔を合わせる仕事だけど、そこは顔腫れたりしたら怒られるでしょ?
遠藤:うん。今まで試合で腫らしたことはないからまだ怒られてないけど、腫らしたら怒られると思うよ?
ボクシングをやる条件として、「仕事に差し支えがないこと」って言われてんだ。でも結果的に今はプラスに働いてるよ。お客さんも応援しに来てくれるしさ。
●おお!じゃあ、銀行のイメージキャラクターになれる位頑張りたいね!
遠藤:無理だよ。今のイメージキャラクターは「千葉ロッテマリーンズ」だぜ。俺、マリーンズに勝てないだろ。
●あはは。球団が相手じゃあねぇ。ボクシングと同じ位好きな物なに?
遠藤:あー。あー。うーん。ないね。
●言ったねぇ!マイブームとか教えてよ。
遠藤:マイブームかぁ。。うーん。「付箋(ふせん)」かな。
2人:あはははははははは。
●なんで?どういうこと?ポストイットみたいな?
遠藤:そうそう。ペタって書類に貼るのが好きなんだ。最近は、矢印の形した付箋が売ってるんだ。「ここ見てね」って、新入生に渡す書類に貼るのが楽しい。あとレギンス?女の子のあれが好き。トレンカも!
●あははは。すごい分かる。レギンスとかトレンカってさ、超イイよね。話がやっかいな方向になってきたけど、もし自分の子供が「ボクシングやりたい」って言ったらどうする?
遠藤:是非是非是非。やって欲しいよ!
●え?親としては、危ない目に合わせたくないとは思わないんだ?
遠藤:うん。得るもの多すぎるからさ。本当にボクシングはやった方がいいよ。いや、ボクシングに限らず、没頭できるものがあったら何でもいいと思うよ?
ってか子供は早く欲しいね。肩車して街歩きたいよ!
●子供好きだよね?子供を育成するジム作りたいとか思わない?
遠藤:思う!思う!お客さんにも「ジム開きなよ!」って言われるよ。もしできたら最高だよね。でも、今は次の試合が一番大事だし、何としても負ける訳にはいかないね。
●今日も練習?
遠藤:うん。今日はスパーリングしっかりやるから、ちょっと寝てから行こうかな。(インタビューをしている時間は、AM 11:00)
●おお。じゃあ、今日もリアルタイムで練習がんばっているってオチでインタビュー締めていいかな?(笑)
遠藤:あはは。無理矢理キレイに終わらそうとしてきたね。あれは書かないでね。レギンスの話。
●あはは。分かったよ。今日はありがとね!
遠藤:うん。ありがと!まぁ、がんばるよ!(笑)これからもよろしくね〜。